474: カラテカ 2012/05/02(水) 22:57:06
大学時代、某実戦空手の道場に通っていて、学校内でも同好会を組んでいた。 
高校生の頃からやっている自分は、学年が上の先輩達よりも段位が上だったので、新入生の時から非常に快適な環境だった。 
先輩達とは、武道系同好会としては珍しく非常に仲良しで、練習の無い日も一緒に遊んだりしていた。 







2回生だったある日、大の仲良しだったA先輩が真っ青な顔をして自分のアパートに逃げ込んできた。
何事かとビックリして聞いてみると、同じ道場のN先輩(社会人)に追い回されているので、逃げ回っているとの事。
N先輩がやっている互助会の保険勧誘の仕事を無理矢理させられたあげく、本人も生活苦になる程加入させられているとの事。
生活苦に耐えきれなくなって、その保険の支払いを滞らせたとの事。
怒ったN先輩がA先輩を探し回り、捕まらない怒りにまかせてアパートのドアを正拳でぶち壊し、部屋の中を破壊してしまったとの事だった。
N先輩は県代表で全○州地区大会に出場する程の強者でありながら、893との付き合いあるとも、893そのものであるとも噂されているダーティーなお方。
N先輩に目を付けられたのでは、普通の学生であるA先輩が命辛々逃げ回っているのも無理なからん所。
当然自分も「これは厄介な事になったなぁ~」と考えながらも、腹を括って暫くの間、A先輩をかくまう事にした。

A先輩をかくまってから2日後、突然N先輩に来襲されてしまった。
N先輩:「ゴラぁ~!お前Aが何処に居るのか知らんかぁ~?」
自分:「いや、知りませんが、何かあったんですか?」
N先輩:「Aの奴が、ワシの任したした仕事をスッポカしやがったんや!」
自分:「え~っ!そうなんですかぁ~?」
N先輩:「お前、まさかAの事、隠してないやろな?」
自分:「はぁ~?ひょっとして、先輩自分の事疑ってるんですか?自分がウソついてるって言うんですか?あぁ~ん?」
N先輩:「いっいや・・・そういう訳や無いんや。もし居場所が分かったら教えてくれや」
自分:「押忍!分かりました。直ぐに連絡させていただきます」
内心、泣きそうなぐらいビビっていたんだが、逆ギレに近い感じで強気で話をしたら、意外とアッサリ帰ってくれた。
475: カラテカ 2012/05/02(水) 22:57:47
押入の中でカタカタ震えているA先輩を保護する事に成功し、取り敢えず修羅場は回避出来た。

それにしても、このままではラチが空かないので、自分が先頭に立って同好会のメンバーを全員招集し、会議を開いた。
A先輩を筆頭に、被害に遭っていた先輩達は、同会員全員で道場を止めるように呼びかけた。
しかし、逆に逃げるよりは、こんな自体を招いたN先輩に報復してやりたいと考えていた自分を筆頭に半数の会員が残る事になった。
しかし、辞めるにせよ、続けるにせよ、道場主である師範と師範代、そして道場の重鎮であるN先輩と交渉し対決しなければならない。
ところが4回生にも3回生にも、そんな交渉出来るような人材がいない。
何かと後輩である自分に頼ってくるような人達ばかりだ。
やむなく、その役割を自分が担うことになった。

先ずは師範と師範代と交渉。
緊急事態に慌てふためいた師範が、N先輩と自分及びA先輩達を交互に呼んで事情聴取。
その後、道場の他の重鎮達も呼んで、N先輩VS自分+A先輩達の討論対決。
元々弁が立つ自分がA先輩達に成り代わって、N先輩の行いについて徹底糾弾!
自分の主張にN先輩もぐうの音も出ず、此方の圧勝。
本来、学生に対して違法な金策をさせてたのだから、警察沙汰になったら困るのはN先輩であり、その雇い主達である。
徹底的に正論を主張すれば負ける訳がないのだ。
結局、N先輩の会社の上司であるS先輩が、被害者であるA先輩達に詫びを入れて、今までの追い込まれた保険金の分を全額返金してくれた。
その返金交渉も、結局、全然被害者でもない自分が窓口になって取り仕切った。
その後、N先輩は道場を破門になり、学生を恫喝した事が原因で奥さんと離婚し、その県から出て行く事になった。
そしてその事件をキッカケに、自分が県内の他校の100名を超える学生全員のリーダーという事で「学生連総長」という、オドロオドロしい役職をいただくハメになった。

そうなると気合いを入れて練習せざるを得なくなり、学生としては初めて社会人を押しのけて県代表として全○州地区大会に出場し、3位に入賞した。
そしてその後、全日本大会にも出場させてもらった。
476: カラテカ 2012/05/02(水) 22:58:07
その事件から2年後の4回生の時、お盆に自宅に帰宅する途中、フェリーの中で偶然N先輩と遭遇した。
当然少しビビったが、その時は乱闘になっても対等に戦える腕前だったので、静かに応対した。

自分:「押忍!N先輩お久しぶりです。」
N先輩:「おお~H(自分)かぁ~久しぶりやな。お前全日本に出るまで強くなったんやな。大したもんや」
自分:「ありがとうございます。N先輩は今どうされているんですか?」
それから30分程、穏やかに話をした。
N先輩は道場を破門になり、離婚した後、東京に渡って同じ派閥の道場に入門したとの事。
そして、何故学生にあんな無茶な保険の掛け方をしたのかも問いただした。
なんとN先輩の裏にも組織があって、N先輩自体もお金を吸い上げられていたとの事。
あの当時は強けれ何でも許されると勘違いし、大人しくてイイ鴨だったA先輩達に貢がせる事に何ら罪悪感を感じていなかったが、今はとんでもない事をしてしまったと反省しているとの事だった。

大人しいお坊ちゃま育ちの自分にとっては、893やダークな組織を垣間見たその時期は修羅場だったが、案外そんな状況でも平然と対応出来る自分を発見する事が出来たので、スゴク良い経験になったと思っている。
477: 名無しさん@HOME 2012/05/02(水) 23:16:52
>>476
どうしても投稿者の姿が「カラテカ矢部」で再生されてしまうw
478: 名無しさん@HOME 2012/05/02(水) 23:20:30
自分もw
弱そうなのに乙、と思ったw
479: 名無しさん@HOME 2012/05/02(水) 23:44:11
実戦空手っていうとやっぱり
常日頃、砂利を押し固めた砂袋に対して拳足を全力で打ち込んだり、
振り子状の砂袋を顔面に叩き付けたりしていて
「少し耐えられるということは
永遠に耐えられるということ」
が座右の銘なのか
480: 名無しさん@HOME 2012/05/02(水) 23:45:00
ごめん、私も矢部で再生して修羅場が修羅場に見えなかったです。
483: 名無しさん@HOME 2012/05/03(木) 00:12:11
>>476
すごい世界だなあ…いつN先輩に報復されるかハラハラしてたw
無事で良かったね

引用元: 今までにあった最大の修羅場 £39