同僚「は? プリン?」
夫「俺の奥さんプリンが大好きで、結婚する時も『プリンを食べる時は二人で』って決めてたんだ」
夫「だけど昨晩、俺どうしても我慢できなくて、コンビニにプリン買いに行って一人で食べちゃってさ」
夫「油断して容器を適当なとこに捨てたらバレちゃって……」
同僚「……アホらし。んなもん謝れば許してもらえるだろ」
夫「許してくれるといいんだけど……」
妻「プリン……」ジロッ
夫「!」
妻「どうして? どうして一人で食べたの? プリン……」
夫「ごめん……」
妻「服を脱ぎ散らかしても、大きい方流さなくても、結婚記念日忘れても、私は許す」
妻「でもプリンの抜け駆けだけは許せないのォ!」
夫「ご、ごめん!」
妻「謝ったって許せない!」
夫「……!」
妻「プリンプリンプリンプリンプリンプリンプリン!」
夫「ちょ、ちょっと……」
妻「プリンプリンプリンプリンプリンプリンプリンプリンプリンプリンプリンプリンプリンプリンプリン!」
夫「止まらない……」
妻「プリィィィィィィィィィィィィィン!!!」
夫「一度落ちつこう! ね?」
妻「!」
夫「帰りに買ってきたんだ。二人で食べよ? ね?」
妻「プリン……」ジロー…
夫「三つあるうち、二つは君が食べていいから!」
妻「二つ?」
夫「三つともいいよ!」
妻「……」
夫「……」ゴクッ
妻「今回は許す」
夫「ありがとう」ホッ
妻「苦しゅうない」パクッ
妻「おいし〜〜〜〜〜〜!」
妻「ありがと、あなた……。私、とっても幸せ……」
夫「よしよし」ナデナデ
…………
……
夫「なんだ、その紙袋」
同僚「○×堂のプリンだよ」
夫「えっ、あの老舗の?」
同僚「ああ、外回り中近く寄ったからついでに買ってきたんだ」
同僚「奥さん、プリン好きだったろ? よかったらどうだ?」
夫「いいのか?」
同僚「ああ、お前には仕事で助けてもらったことあるし」
夫「……だったらいっそ家来ないか?」
同僚「そうだな。一度奥さんに会ってみたいと思ってたんだ」
同僚(プリン好きの嫁さんか……きっと子供みたいな感じなんだろうな)
同僚「お邪魔します」
妻「いらっしゃいませ」ペコッ
同僚「!」
同僚(あ、あれ……)
妻「夕食をご用意してますので、こちらへどうぞ」
同僚(お上品な奥様じゃんか……全然プリン好きって感じしないんだけど)
夫「ハハ、ありがとう」
妻「もうお上手なんですから」クスッ
同僚「奥さんも飲めるんでしたら一杯どうぞ」
妻「どうも」ゴクッ
妻「……おいしい」
同僚「色っぽいですね! じゃあ、そろそろ例の物を……」ガサゴソ
妻「例の物?」
妻「プリンッ!?」ガタッ
同僚「!?」
妻「あ……コホン。ありがとうございます。後でゆっくり食べさせてもらいます」
同僚「あ……はい」
同僚(目の色が変わった……こりゃ相当なプリン好きだわ)
目の色が変わるて
凄いな
妻「じゃあプリン食べよ! ○×堂のプリン!」
夫「ああ、いただこう」
妻「いただきまーす」パクッ
妻「ふわぁ〜、おいしい〜! 口の中でとろけるぅ〜!」
夫「うん、初めて食べたけどさすが○×堂だな」
妻「この世に生まれて……よかった……」
夫「俺もだよ」
TV『△□県にあるこちらのプリン屋さんをご紹介します!』
TV『一日100個限定のこちらのプリン、さっそく食べてみたいと思います』
TV『ん〜、おいし〜! こんなおいしいプリン食べたことありませんよ!』
妻「……」ダラ…
夫「よだれ出てるよ」
妻「……あ、ごめんなさい」フキフキ
夫「食べてみたいね。だけど△□県は気軽には行けないよな」
妻「そうね、かなり遠いものね」
課長「今度、出張して欲しいんだ」
夫「分かりました。で、出張先は?」
課長「△□県の支社だ。滅多に行く県でもないし、なんなら観光でもしてきたらどうだ?」
夫「……!」
夫「行きます! 行かせて下さい!」
課長「お、おお。気合入ってるな。頼むよ」
妻「あら、お疲れ様。どこに?」
夫「△□県」
妻「△□県!? ってことは……」
夫「支社に行かなきゃいけないのは午後からだし、午前中は丸々使える」
妻「もしかして、あのプリン買ってきてくれるの!?」
夫「ああ、早朝から直行すれば買えると思う」
妻「プゥリィ〜ン! あなた、愛してる!」
夫「えーと、ここだここだ」
夫「うわっ、もうすごい並んでる……」
ズラッ…
夫「とりあえず、俺も並ぼう」
店員「ただいまより整理券をお配りしまーす! ご購入はお一人様2個まででお願いしまーす!」
夫(みんな2個買うだろうし、買えるかどうか微妙なとこだな……)
夫「……」ドキドキ
店員「どうぞ」
夫(頼む、俺のとこまで来てくれ〜!)
店員「いくつご購入ですか?」
夫「に、2個で!」
店員「どうぞ」
夫(やった〜! 整理券ゲット! 買えた〜!)
店員「すみません、今日はここまでです……」
母「あらそうなんですか。残念……」
子供「やだやだやだ! 買いたい〜!」
母「仕方ないでしょ。また今度来ればいいでしょ!」
子供「やだやだやだ! 今日食べたいの〜! どうしても食べたいの〜!」
母「いい加減にしなさい!」
夫「……」
母「えっ、でも……」
夫「おいしいプリンとのことですし、お子さんに食べさせてあげて下さい」
母「しかし……」
夫「大丈夫です。また買える機会はあると思いますし」
母「すみません、ありがとうございます。ほら、あんたも!」
子供「あ、ありがとうござます!」
夫「ハハ、おいしく食べるんだよ」
夫(流石に目の前で泣かれちゃなぁ……。ごめんよ……買えなかった)
妻「おっかえりなっさ〜い」クルクルッ
夫「えぇと……」
妻「連絡なかったけど、どうだった? 買えた? プリン買えた?」
夫「……ごめん。並ぶのが遅くて……」
妻「そっかー……ダメだったの」
妻「ううん、謝らないで! あんな人気プリンだししょうがないわよ!」
妻「それより出張で疲れたでしょ。すぐご飯にするわね!」
妻「ラララ〜、今日はハンバーグ〜」
夫「……」
夫(無理してるのが丸分かりだ。なんで整理券を譲っちゃったのか。お人よしすぎる……)
夫「あのー、課長」
課長「なんだ?」
夫「また△□支社に出張って話はないでしょうか?」
課長「今は何かと経費削減とうるさいからな。当分ないと思うぞ。今回がむしろ特例なぐらいだ」
夫「そうですよね……」
夫(プリンのために行くにはちょっと遠いからなぁ……いつ手に入れられるだろうか)
夫「このデータを入力して、と……」カタカタ
同僚「おーい」
夫「ん?」
同僚「別の支社から来た人が、お前呼んでるって」
夫「え?」
同僚「多分、△□支社の人じゃないか?」
夫「なんだろ……」
会社員「お久しぶりです」
夫「こちらこそ」
会社員「今日は別件での出張だったんですけど、これを差し上げたくて」
夫「え……」
夫(これは……あのプリン!?)
夫「ど、どうして……」
会社員「プリン屋さんで、家内と息子がお世話になったそうで」
夫「あ……!」
夫「ああ、雑談の中でいったような」
会社員「あの後、家に帰ったら、家内があの店のプリンを買っていて」
会社員「“親切な人に整理券を譲ってもらった”っていってましてね」
会社員「色々特徴を聞いたら、あなただと分かりましてね。社章もつけてましたし」
夫「あー……そうだったんですか」
会社員「というわけで、これどうぞ。お返しです。夫婦で買って、四つ入ってます」
夫「ありがとうございます! 本当にありがとうございます!」
夫(二つ買える整理券を譲ったら、倍になって返ってきた!)
妻「わぁっ!」
夫「さっそく二人で食べよう」
妻「うん!」
夫「じゃ、どうぞ。召し上がれ」
妻「……」プルプル
夫「どうしたの?」
妻「緊張しちゃって……スプーンを持てないの」プルプル…
夫「ええっ!?」
夫「え?」
妻「お願い……食べさせて……」
夫「分かった……いいよ」
夫「口開けて」
妻「あーん」
夫「入れるよ……」スッ…
妻「うん……」パクッ
夫「どう?」
妻「ふぁぁぁぁっ……! なんなの……なんなのこれ……!」
夫「……!」
妻「し〜、あ〜、わ〜、せ〜……」パァァァ…
夫「そんなにおいしかったのかい」
妻「ううん、おいしかっただけじゃないの」
夫「?」
妻「そんなあなたにあーんしてもらえることも嬉しかったの」
妻「もう……たまらないわ。幸せすぎて怖い」
夫「俺も……たまらないよ」
妻「ねえ……もう一口いい?」
夫「ああ、いいとも」
妻「あーん」
夫「入れるよ……」
…………
……
夫「ああ、一口ずつゆっくりと……時間が経つのも忘れて楽しんでたよ」
同僚「よくやるわ」
夫「俺は妻がプリンを食べてるとこ見るために生きてるって改めて実感したよ」
同僚「お前はどんなにいい女が目の前に現れても、絶対不倫しないだろうなって断言できるよ」
おわり
夜なのにプリン食いたくなってきた
引用元: ・同僚「えっ、奥さんに不倫がバレちゃったのか!?」
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