
ちょっとさびれた田舎の風景を撮るのが趣味。
帰省の時もカメラを持ってたんだけど、国道沿いにいい風景があった。
田んぼに枯れたススキ、古い納屋の壁にツタとカラスウリ。
喜んで撮ってたら、近所のお爺さんに声をかけられた。妙に雰囲気のある爺さん。
私有地侵入で通報されても困るし、地元のお年寄りに話しかけられるこういうケースは珍しくないし、良い撮影スポットを教えてもらえたりするので、話をすることにしている。
何撮っとったんや、どこから来たんや、等の会話ののち、
ウチそこなんやけどな、季節外れの珍しい花が咲いてるねん撮っていけ、と。
着いていった場所は建設業?の事務所。資材がちょこっと置いてある。
ただガンガン営業はしてないらしくよく見ると廃墟状態だった。
植木鉢の花をほめつつ撮影。確かに珍しい花だった。
御礼を言って帰ろうとすると、爺さんが「うちな、おもろい生き物飼っとんねん、見てけ、な、見てけ」。
建設事務所の敷地内のプレハブに連れて行かれた。
この時点で、爬虫類か何かを娯楽で飼ってるんだと思ってた。
田舎ってデカい生き物普通に飼うからね、実家の近くには納屋で豹みたいな猫?を飼ってた家もあるし、案外田舎には珍しくないのね。
「おもろいぞー、びっくりすんぞー」とドヤ顔のお爺さんに「あはは、珍しい動物だったら撮らせてくださいねえ」。
お爺さんがプレハブを開けた。
昭和のヤンキーみたいな恰好のオッサンが、ギチギチに詰まってた。
ヤンキー映画のようなジャンパー、大粒イクラが並んだようなパンチ。
一斉にじろりとこっちを見た。
「!!!!」漏らすかと思った。あの衝撃。
びっくりしたびっくりした確かにびっくりした。
フリーズしてたらニヤニヤ笑ったお爺さんが「お前ら、明日は仕事せえよーw」と、プレハブ閉めた。
これについて何と言えばいいのか、いや見なかったことにするのか?
財布と免許証!頃されたり売られたりしないよな?
脳内ガクブルのまま、何とか愛想笑いで退散した。会話はあまり覚えてない。
帰りにちょっと離れた場所からタコ焼き屋(客来るのか?)にいたガチムチ兄ちゃんが
ピースサインやらかわいいポーズをとってくれた。爺さんとの2ショ撮った。
うまく伝えられなくて申し訳ないんだが、あれは個人的に修羅場だった。
後日近所に住む同級生に聞いたところ「ああ、あそこ8○3屋さんやねーw」とおっしゃってましたそうだよね…。
想像したら自分でも怖いわ
ていうかお年寄りとはいえ廃墟とかプレハブとか
軽々しくついてっちゃ駄目だよ……
ただ、大きさや色が珍しく、時期的にも咲いてない時期だったのでラッキーだとは思った。
繁華街ならまだしも、のどかな田舎にオッサンギチギチのプレハブ。
頃されるか売られるか掘られるか、財布にいくら入ってたか、カメラのデータ消されるかな、車までどうやって行こうか、と心臓バクバクでした…。
あの日に撮った他の写真も怖くて表に出せない…。
引用元: ・今までにあった最大の修羅場 £76
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